素領域日記 2010/12/31(金)

西暦2010年もとうとう暮れようとしている。
昨日30日は仕事納めだった。そのまま近郊の港町になだれ込んで忘年会。
過ぎ行く年を忘れ、新たな年を迎えようと思うわけだが、どうも現地の人はそうした考えを採用しないようだ。年末は泣くものなのだと云う。新たな年がいい年かどうかなんて分からない。それよりは実際に生きた今年が過ぎ去ってしまうことを忍び、涙を流す。
そんな考え方もあるのか。
ここに来て思うのは、本当に「異国」に来たなということだ。西洋の大都市に滞在していても、ここまでの異国感は感じない。日本に居ても西洋圏の情報や思想にはある程度知らぬ間に接触していて、それらに順応している面がある。
しかしここイスラム圏、しかも発展途上国、いや、アルジェリア人自身が自国をそう呼んでいる「第三世界」となるとやはり勝手が違う。そもそも第三世界などという単語はこちらに来て本当に久々に聞いた。私が少年だった'80年代、まだ「発展途上国」という呼称に置き代えられる以前によく使われていた表現だ。
といっても、アルジェリアは地中海側から見てアフリカの玄関口、地中海の北岸にはヨーロッパがあり、仏の植民地時代を132年間も経験したこともあり、地政学的に西洋世界から何の影響も受けずにいられることは不可能だ。
年の瀬の、暮れ行くアルジェの街並を載せつつ、読者諸氏にはやはりよい年を迎えていただきたいと切に思う。